僕は、足りないものだらけ

僕は、足りないものだらけ
父は語った「強くあれ!」
母は願った「優しくあれ!」
先生は律(りっ)した「賢(かしこ)くあれ!」
友は叫んだ「バカであれ!」
僕は迷った「どうであれ?」

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僕は、足りないものだらけ
そのどれにもなりたくて
そのどれにもなれなくて

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情報、愛情、感情、過剰(かじょう)
あふれて膨(ふく)れた街の中

僕と違う
足りないものだらけの
君が言った
「みんなそんなものでしょ?」

-3-

「そのどれにもならなくても」
「そのどれにもなれなくても」
「別にどうでもいいんじゃない?」
見回せば
どこもかしこも
足りないものだらけの
僕たち

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「だから優しくなれるじゃない」
「だから求め合えるんじゃない」
足りないものだらけの
君が笑う
足りないものだらけの
僕も笑う
空にはまん丸お月さま

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